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【プラモデル】クリアー塗料・クリアーカラー について

8月 3, 2025

この記事では「クリアー塗料」「クリアーカラー」について解説しています。

「透け感のある塗装」には必須の「各種クリアー塗料」、その性質を知るための手がかりとしてもらえれば幸いです。

「クリアー塗料」とは「色が付いていない(顔料の入っていない)透明な塗料」の事です。

「色が付かない水みたいな塗料に何の意味があるの?」と思うところですが「色」を変えずに「質感」だけを変えるのは、プラモデル・フィギュア製作においては重要です。

その「質感」を調整することができるのが「クリアー塗料」なんです。

例えば

  • 【つや消し】
    • 荒い粒子を使った透明な塗料。
    • 表面をざらつかせて光の「乱反射」を起こし、マット(艶の無い)な表面を作る。
  • 【つや出し】
    • きめ細かい粒子を使った透明な塗料。
    • 表面を均一に整えて光の「正反射」を起こし、ツヤツヤした表面を作る。

既にお分かりかと思いますが、「プラモ・フィギュア制作」でよく使われる「つや消しトップコート」「光沢トップコート」「クリアー塗料」の一種です。

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「色が付いていないのがクリアー塗料」と上では書きましたが中には「色味を持つクリアー塗料」も存在します。

それが「クリアカラー塗料」です。

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「クリアーカラー塗料」はその名の通り

クリアー(透明)を持ったカラー(着色)塗料

です。

「クリアー(透明感)」を持つということは「下地の色を通す」ということです。

ここが「通常の塗料(顔料入り)」と違うところで、通常の塗料は

「顔料(色の付いた粒)」でパーツを覆い、下の色を通さず自分の色を発色させる

という物です。

対して「クリアーカラー」

パーツ(下地)の色を潰さず、重なるようにして色味を変える・加える

という物です。

例えるなら

  • 【通常の塗料】
    →上から色紙を被せる
  • 【クリアーカラー】
    →上からセロファン紙を被せる

という感じでしょうか。

「色紙」は何枚重ねても「色紙の色」しか出せません。
(色や材質によって多少は影響があります)

しかし「セロファン紙」のような透明なものは重ねれば重ねるほど色味が濃くなります。

通常の塗料はある程度塗り重ねて発色したら、(多少は下地の影響を受けるとはいえ)その後大きく色味は変わりません。

これは「顔料の色」固定されているからです。

「透けない色」をいくら塗り重ねても、「その顔料の持つ色」から外れた発色はしないのです。

しかし「クリアーカラー」のような「透ける色」塗り重ねれば塗り重ねるほど「下の色に足し算」するようにしてより濃く発色します。

「アクリル絵の具」「水彩絵の具」の関係にも似ていますね。

ただし、何度か書きましたが「不透明塗料(顔料系)」でも「薄い色」だったりすると「下地の影響」もそれなりに受けるので注意が必要です。

ここまで「通常の塗料(顔料入り)」「クリアーカラー」の違いについて説明していきました。

が、クリアーカラーには

  • 顔料系
  • 染料系

の2種が存在します。

「顔料(不透明な粒)」なのに「クリアー塗料」というのは矛盾しているようですが、これは「超微粒子化」した特別な顔料を使用した「Mr.カラーGXシリーズ」等で実現しているクリアー塗料です。

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「クリアーな顔料系塗料」の特徴「にじまないこと」です。

「染料系塗料」は、塗り重ねることで下の塗膜が"溶けて"しまい、にじむことがあります。

反面、「顔料系クリアー塗料」ちゃんと乾燥させた後ならにじむことはありません。

また、染料系塗料は「紫外線」に弱いのですが、顔料系は紫外線にも強いらしいです。

GSIクレオス 公式Xより

上で書いた通り「染料系クリアー塗料」"にじみ"が起きてしまいます。

顔料系は「粒」なので"にじむ"ということはありません。

しかし「染料系」は「色が液体(溶剤)に溶けている」ので、乾燥した後でも上から「染料系塗料(溶剤)」を吹かれると、じわじわと溶剤成分で下地を溶かしてしまいます。

逆に「にじみを活かした塗装方法」もあるそうですが、そうでない場合は素人意見だと「顔料系」の方が使いやすい印象です

ここからは具体的な「クリアー塗料の用途」を見ていきます。

上でも書きましたが

  • つや消し
  • 半つや/つや 出し

など「色味を変えずに質感だけを変えたい」という場合には「無色のクリアー塗料」を塗布すると良いでしょう。

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「下地を潰す」のではなく「下地に透けて重なる」のが「クリアー塗料」です。

なので「下地の色を生かしつつ、『少しだけ』色味を変えて印象を変える」という使い方が出来ます。

例えば

  • 「寒色」を上から吹いて、冷たい(工業製品的な)印象を加える
  • 「暖色」を上から吹いて、温かい血の通った印象を加える

などなど。

「べた~っとした不透明な塗装」ではなく「下地の色がうっすら透ける、透明感のある塗装」をしたい場合は「クリアーカラー」の出番です。

「透明感」というのは一言で言うと「下地を反射させること」ですので、下地を潰さない「クリアーカラー」はその用途に適していると言えます。

例えば「リアルで透明感のある肌」を塗装したい場合、下地に「赤系の暖色(フェオメラニンの色)」を塗って、その上から「クリーム系の色(表皮)」を塗ると「血の通った生き生きとした肌」を表現できます。

「肌の色を不透明塗料でベタ塗りした肌」だと、どうしても「作り物感」が出てしまいますが、「クリアーカラーを使った透け塗装」なら「生物間のある肌」が作れます。

上で説明した「肌」のように「透けている物質」を塗装で再現するのに、「クリアーカラー」は良く用いられます。

憧れる人も多いであろう「キャンディ塗装」も、「クリアー塗料」を用いた塗装テクニックです。

「シルバー」などの「メタリックな色」を下地に塗り、その上から何度も「クリアー塗料」を薄く塗り重ねて、「幾層ものクリアー塗料の反射によって生まれる」、独特な輝きを作ります。


この他にもいろいろな「透明な塗料であることを活かした塗装方法」があり、「クリアー塗料」を用いることで表現できる範囲が大きく広がることでしょう。

今回は「クリアー塗料」「クリアーカラー」についての記事でした。

特に有機的なものを作る際は「透け感」が重要になる場合が多いので「生物」をメインで作る方は、覚えておいて損は無いかなぁと思います。

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